ようこそ『蒸気爆発野郎!』の世界へ!

ここは永遠の19世紀末。浪漫と冒険溢れる永遠の霧の都

このゲームの目的は19世紀末の架空の大都市『倫敦』を舞台として様々なドラマを楽しむというものです。プレイヤーは自分のキャラクターを通じてこの舞台に参加することになります。またキャラクターはプレイ中に他のキャラクターと交流を持つことになります。

このゲームを通じて参加することが出来るドラマは、何らかの事件であることも多く、またキャラクターは事件で重要な役回りを与えられ、現実では想像も出来ないような活躍をすることも出来るでしょう。

プレイヤーキャラクターを取り巻く環境は様々な『事件』が発生し易いように調整されています。多くの事件の発端は倫敦における『キーパーソン』達であり、彼等は知り合いであるプレイヤーキャラクターを巻き込んでいきます。

覚えておきましょう。このゲームではどんな場合でも最後の切り札は『人脈』です。

さて、以下のページには、『蒸気爆発野郎!』というゲームを楽しむためのルールが収録されています。このゲームを通じて、あなたは小説や映画などの(いわば押し着せの)キャラクターで語られる物語だけではなく、あなただけが得ることのできる唯一の物語を得ることができるでしょう。しかも、望むならばその楽しみはずっと続けることさえ出来るのです。

このゲームの所属するゲームの分野は『テーブルトークロールプレイングゲーム』と呼ばれています。テーブルトークロールプレイングゲームは、多くの場合TRPGと略されます。大事なことは、このゲームを楽しむには複数のゲーム参加者が必要である、ということです。残念ながらこのゲームは一人で楽しむことは出来ません。

ゲームの準備

『蒸気爆発野郎!』のゲームに参加するためには、この本と数枚の紙、鉛筆などの筆記用具、サイコロが幾つか、数人が食べたり飲んだりできるジャンクフードとドリンクの山などが必要です。サイコロは普通の6面体サイコロで、特に1の目が赤いものが良いでしょう。大きさは適当で構いませんが、10個くらいあると便利かもしれません*1。参加人数は最低2名ですが、ゲームをプレイして面白いのは4-5人でしょう。参加人数の上限は特に設定されていませんが、スムースなゲーム進行のためには8名程度が上限となるでしょう。もちろんゲームを実際に行うためにはそれだけの人数が収容できる部屋と、筆記用具を広げることのできるスペースが必要です。『蒸気爆発野郎!』のプレイは主に言葉を使ってコミュニケーションすることが必要になりますから、少しくらい声を出しても迷惑にならないスペースである必要があります。

プレイヤーとゲームマスター

『蒸気爆発野郎!』のゲームにおける最低参加人数は2名です。『蒸気爆発野郎!』は一人以上の(一般的な)プレイヤーと、一人のゲームマスターという特別なプレイヤーを必要とします。プレイヤーもゲームマスターも『蒸気爆発野郎!』をプレイするためには必須です。あなたがどちらを選んでも十分な楽しみを得ることができます。

プレイヤーは『蒸気爆発野郎!』の世界に生きている最低一名(多くの場合は複数名)の架空のキャラクターを作成します。そしてそのキャラクターの担当者としてキャラクターの演出を行います。演出には、キャラクターが直面する事態に対する様々な判断を下すことや、キャラクターの行動を宣言することも含まれます。そのキャラクターらしく架空の世界での行動を選択する必要もあるでしょう。プレイヤーとなったあなたは、他のプレイヤーや、ゲームマスターと協力しながらゲームを進行させることで楽しみを得ます。『蒸気爆発野郎!』ではプレイヤーが担当するキャラクターを演出することがゲームを進行させるための重要な役割を持ちます。

もしもあなたがゲームマスターとなることを選んだならば、プレイヤーでは決して得ることのできない楽しみを得ることができるでしょう。ゲームマスターはゲームの管理者であり、レフェリーのような存在です。ゲームマスターはまたゲームの真の進行役でもあります。ゲームマスターは、ゲーム中の場面転換を管理し、プレイヤーの扱うキャラクターの見たり聞いたり感じたりできるあらゆる場面を説明し、プレイヤーの扱うキャラクター以外の全てのキャラクターとして発言します。舞台でいえば演出、大道具、小道具、エキストラ役を兼ねたような存在です。これだけ聞くと大変な仕事のように思えますが、楽しみは人一倍です。

ゲームマスターは実際にゲームをプレイする前に、『シナリオ』と呼ばれる「ゲームの素地」を準備する必要があります。しかしこれはゲームマスターにしか許されていない仕事です。ゲームマスターは自由に世界を構築し、演出することのできる特権的な存在です。ゲームマスターは、自分の設定した世界の中で、プレイヤーの扱うキャラクターが、どのような反応をするかを見たり、自分がシナリオで設定したゴールに、どのように自然な形でプレイヤーを誘導するかという独特の楽しみを持っています。これはもちろん毎回巧くいくとは限りません。しかし、キャラクターの演出を担当しているプレイヤー達と共同戦線を張ることで、何らかのエピソードがリアルタイムに組み上げられていくという楽しみを得ることができます。このように、リアルタイムでエピソードが積み重ねられていくゲーム展開の形式を、このゲームでは「リアルタイムレンダリング方式」と呼ぶことにします。

『蒸気爆発野郎!』のセッション

実際の『蒸気爆発野郎!』のゲームは、ゲームマスターが準備した世界の中で、プレイヤーが自分の操るキャラクターとして振る舞ったり、そのキャラクターが経験する運命を演出するなどの介入を行ったりすることで進行します。このようなゲームの一回一回のプレイを『セッション』と呼びます。『蒸気爆発野郎!』のセッションは、短いもので2時間程度の時間を必要とします。長いものになると一晩かかるものも珍しくありません。

セッションの長さは、ゲームマスターの準備した『シナリオ』によって左右されます。もちろん、ゲームの進行状況によってシナリオは随時変更されます。それが『蒸気爆発野郎!』のセッションの醍醐味でもあります。プレイヤーの操るキャラクターがどう動くかによって、リアルタイムで状況は変更され、その変更された状況に従ってマスターは状況を語るのです。その語られた状況は再びプレイヤーがキャラクターを演出するための材料になります。そのようにして『蒸気爆発野郎!』セッションはシナリオの最後まで「リアルタイムに組み上げられる」のです。

 

*1:特にサイコロを指定するのは、このゲームをプレイする際にはサイコロの1の目が特殊な意味を持っているためです。視認性の良いサイコロはプレイに余計な負荷をかけないためにも必要です。

とりあえず実際のゲームの進め方はターン制に統一します。一日を4ターンに分けて、そのうち1ターンは睡眠に回すこと。午前、昼、午後、夜。1ターンは2フェイズ。2フェイズは場面に相当します。地域を跨ぐ移動にも1フェイズ必要(『蒸気!』では舞台となる場所が限定されていて、それらの範囲を「地域」として分けています。また、プレイに参加する全員が地図を持ってプレイすることを想定しています)。睡眠が取れない場合には行動ロールに-4の修正。ちなみに二晩連続の徹夜は不可能とします(してもいいけど役に立たない、ということで)。

シーンによって矛盾が生じないようにプレイヤーが場面演出を考えること。勿論未来やら過去やらからの呼び込みの場合にはそのシーンが矛盾を生じない限り、きちんと処理すること。「説明できるのであればゲーム世界的には成立する」のが『蒸気!』のお約束。これは『説明原則』と呼ばれます。