蒸気爆発野郎!の世界へようこそ

『蒸気爆発野郎!』の舞台は架空の都市『倫敦』です。この世界では19世紀末の英国を舞台とした多くのフィクションが現実として再構築されています。従って、プレイヤーキャラクターは有名な探偵や犯罪者とも共演することができますし、多くの人に知られたおなじみのシーンも再現することができるでしょう。

『蒸気!』の世界と『熱い魂を持つ者』

『蒸気爆発野郎!』をプレイするためには、プレイに参加する全員がゲームの舞台となる架空世界についての知識を得ていることが必要です。普段暮らしている世界とは異なる世界で、自分たちとは違った個性として振る舞い、またその運命を演出することは、プレイヤーとしての重要な楽しみです。そしてそれらの演出を通じてゲームマスターの用意した様々な課題をクリアし、その結果としてゲーム世界でキャラクターが関わる各種の状況を変化させるという楽しみも得られます。さらにセッションを重ねることでその世界についての知識は貯えられ広がっていきます。過去に解決されたと思われている事件は、実はもっと大きな事件の伏線かもしれません。世界はセッションを重ねることでキャラクターの手によって広がり続けるのです。『蒸気爆発野郎!』では、架空の19世紀末イギリスの首都『倫敦(ロンドン)』がゲームの舞台となります。詳しい説明は、『世界編』以下を参照して下さい。

『蒸気爆発野郎!』のプレイヤーキャラクターは、大都市『倫敦』に棲む特殊な運命を背負った人々です。彼らはゲーム内で『熱い魂を持つ者』と呼ばれます。彼らは特別な運命を与えられ、様々な事件と関係することになります。彼等は好む好まぬとに関わらず、特別な人間として生きる運命が与えられます(事件に遭遇し易いというのもその一つです)。彼らは、『熱い魂』と呼ばれる自覚不可能な特殊能力を持っています。彼らは燃えさかる炎のような魂を持っていおり、結果として尋常でない活躍を行うことが出来ます。

しかし『熱い魂を持つ者』の中には、世界征服を企む悪の秘密結社の首領や、他人を省みないマッドサイエンティスト、社会を混乱に巻き込んでほくそ笑む犯罪者なども含まれます(もしかしたらプレイヤーキャラクターもそのような人々の一人かもしれません!)。このような人々が起こす事件は、特に強くプレイヤーキャラクターを引き寄せます。それはまさに『運命』としか言い様がありません。『蒸気爆発野郎!』では、プレイヤーキャラクターは、このような様々な事件と関係し続けることになります。そして、『熱い魂を持つ者』の引き起こす事件の多くは、プレイヤーキャラクター無しでは解決することも覚束ないのです。

運命の輪は回り、プレイヤーキャラクター達を事件へと導きます。魂の炎を絶やすことの無いように!

<コラム:『熱い魂』が自覚不可能な理由>

これはゲーム内でプレイヤーとキャラクターをはっきりと分けているためです。『蒸気!』ではキャラクター同士の会話も『演出』であると定義しています。キャラクターに成り切るのではなく、キャラクターを演出しているのだ、という考え方です。このような演出方法の一つとして『熱い魂』は用意されています。『熱い魂』はキャラクターを演出するために使うものであり、『キャラクターが望む結果』をもたらすためのものではないのです。従って、プレイヤーキャラクターの登場しているシーンを演出するために用いるべきです。ドラマを構築する権利は、キャラクターにではなくプレイヤーにこそ与えられているのです。

蒸気の世界への誘い

『蒸気爆発野郎!』の世界は先述の通り、『架空の19世紀末の大都市*1』です。この舞台についてちょっと見てみましょう。世界を知ることが、このゲームに参加するための最初の一歩です。そして、次にその世界で暮らすキャラクターについて想像を巡らしてみて下さい。

霧に包まれた19世紀末の倫敦は、世界の中心たる英国の首都であり、世界一の大都市、まさに都市の女王です。倫敦は全世界に名高い栄華を極めています。時代的に大英帝国の絶頂期に当たり、巨大な富がイギリスに運び込まれています。しかし一方で栄華と豪奢と罪悪の都、古都バビロンを上回る腐敗都市として、「巨大なおでき」とも形容されます。地域による貧富の差も激しく、高級住宅街や商業地域があると同時に、世界でも最悪のスラムも広がっています。

舞台となる19世紀末は、名高い悪党や怪人物、有名人も数多く輩出されています。かのシャーロック・ホームズ物語では、ヴィクトリア朝末期の風俗が数多く語られています。たとえば霧の夜について、また馬車の行き交う往来について、そして数々の事件についてです。しかし、倫敦にはそれ以外にも様々な要素が含まれています。

この空想上のヴィクトリア朝末期の倫敦では、『導引機械』という名の巨大な算術機械群が駆動し、人々は架空の人格を楽しみ、高性能の義手や義足の存在する「改変された歴史」が流れています。この世界ではフィクションすらも現実なのです。シャーロック・ホームズ氏は今日も難解な事件に対してエネルギーを注いでいるでしょう。ジキル博士は人間の心について研究を続けているはずです。そしてまたヴァン・ヘルシング教授はドラキュラ伯爵のまき散らした恐怖と悪徳に対して今も闘っています。

『蒸気爆発野郎!』のプレイヤーキャラクター達は、この幻想都市『倫敦』で、日夜冒険を繰り広げることになるのです。

メモ

今までの『蒸気!』と今回のバージョンの『蒸気!』が大きく異なるのは、今回の『蒸気!』は多くの資料から設定を取り込もうとしている点です。今までは1890年代が舞台だと言ってましたが、ホームズやら切り裂きジャックやらドラキュラなどを効果的に入れようとするとあと5年遡る方が面白そうです。従って1886-1901年の15年間を扱うゲームになりそうですね。15年間といえば、1986年から2001年までと同じようなものです。以下に面白そうな設定をメモとして入れておきましょうか。

85 吸血鬼ドラキュラ事件(以降『大汚染』)
88 切り裂きジャック事件
91 モリアーティ教授死亡
94 モラン大佐逮捕
95 オスカー・ワイルド逮捕

モリアーティ教授、ドクター・フー・マンチュー、その他の設定も入れておくこと。犯罪結社として構築するといいかもしれない。

課題:年表をレイヤー表示にするとかどうか?

*1:史実の19世紀末と既刊のフィクションと同時に、ゲームデザイナーの仕掛けたフィクションも含まれています。さらに、ゲームを進行させるに従って、ゲームマスターとプレイヤーによる創作の歴史も含まれていきます。このようにして編まれた歴史を管理するのもゲーム参加者の仕事です。