【はじめに】

われわれは、物理学的な大きさや形を、あるがままに受け取っているとは限らない。それを端的に示しているのが、幾何学的錯視である。田中(1994)によれば、『幾何学的錯視(geometrical-optical illusion)というのは、平面図形の幾何学的性質(大きさ、長さ、方向、角度、曲率、形など)が刺激の客観的関係より組織的に、かつ相当量、異なって知覚される現象』である。幾何学的錯視は、特別な現象でも異常な現象でもなく、通常の視知覚において一般的に生じる現象である。程度の差はあっても、錯視図で示されるのと同様の歪みは、多くの日常場面で生じている。しかし、いわゆる錯視図を用いることで、歪みを特に顕著に確認出来る。大山(1970)によれば、『幾何学的錯視を研究することは、視知覚一般、とくに、2次元的空間体制の基本を探るための 有力な手掛りとなりうると考えられる』という。今回の実験では、調整法を用いたミュラー・リヤーの錯視の錯視量の測定を試み、これを通じて、測定法に関する諸条件や、錯視の現れ方を規定する要因について考察をおこなう。

→ここに上げられた引用文献について調べてみよう

大山正(編)1970 講座心理学第4巻 知覚 東京大学出版会 p92
・田中平八 1994 幾何学的錯視と残効 p681 新編感覚・知覚心理学ハンドブック 誠信書房

ミュラー・リヤーの錯視に関する最初の研究は何か調べてみよう
→その他のミュラー・リヤー錯視を用いた研究についての論文を探し、どのような研究結果が出ているかを調べてみよう